日本相撲協会に所属する二所ノ関一門の「大嶽部屋」は、かつて昭和の大横綱である大鵬が一代年寄として創設した「大鵬部屋」を前身に持っています。その歴史をたどると、師匠の交代や部屋の継承、さらには所属力士の不祥事に対する対応など、相撲界の激動の変遷が色濃く反映されています。
本記事では、公式な百科事典や信頼できる報道データをもとに、大嶽部屋親方の歴代変遷や、貴闘力から17代大嶽への継承経緯、過去の不祥事における対応の真相までを解説します。
大嶽部屋の歴史と前身「大鵬部屋」からの歩み
大嶽部屋は、日本相撲協会の二所ノ関一門に属する由緒ある相撲部屋です。そのルーツは、昭和の大横綱として角界に君臨した大鵬幸喜が一代年寄として興した「大鵬部屋」にさかのぼります。
大鵬の指導のもとで多くの力士が育ちましたが、大鵬の停年(定年)退職が近づくにつれて、部屋の継承や体制変更の時期を迎えることになりました。角界における伝統の継承は、単なる名跡の移動にとどまらず、師匠から弟子への精神的なバトンタッチという意味合いも強く持っています。
貴闘力から17代大嶽への継承経緯と歴代変遷
大嶽部屋の親方の変遷において重要な転換点となったのが、二子山部屋に所属していた元関脇・貴闘力による継承劇です。公式データによると、貴闘力は1993年に大鵬の三女と結婚して婿養子となりました。
その後、貴闘力は2002年9月場所限りで現役を引退し、年寄「16代大嶽」を襲名しました。16代大嶽は自身の引退相撲の翌日である2003年2月3日付で大鵬部屋に移籍し、部屋付の親方として後進の指導にあたりました。そして、2005年5月の大鵬の停年退職に先立ち、2004年1月1日付で部屋を正式に継承。この継承に伴い、部屋の名称も「大嶽部屋」へと変更されました。
| 時期・年 | 出来事・変遷 | 主な関係者・備考 |
|---|---|---|
| 1993年 | 貴闘力が大鵬の三女と結婚し婿養子となる | 二子山部屋所属 |
| 2002年9月場所 | 貴闘力が現役引退、年寄「16代大嶽」を襲名 | 引退後に年寄株を取得 |
| 2003年2月 | 大鵬部屋へ移籍し、部屋付親方として指導を開始 | 引退相撲翌日の日付で移行 |
| 2004年1月1日 | 部屋を継承し、名称を「大嶽部屋」に変更 | 大鵬の停年退職に先立つ継承 |
過去の不祥事における対応と指導体制の真相
相撲部屋の運営において、所属力士のコンプライアンスや不祥事への対応は、師匠の責任として常に厳しい目が向けられます。大嶽部屋においても、過去に大きな波紋を呼んだ出来事がありました。
例えば、2018年3月には当時の所属力士であった大砂嵐による自動車の無免許運転および追突事故が発覚しました。事故直後の警察の事情聴取に対して「妻が運転していた」と虚偽の主張をしたほか、日本相撲協会による3回の事情聴取に対しても「自分は運転していない」と嘘の発言を重ねたことが問題視されました。
当時の処分内容と親方の責任・対応の実際
大砂嵐の案件において、日本相撲協会は2018年3月9日付で引退勧告の処分を下し、大砂嵐はこれを受け入れて即日引退となりました。
一方で、当時の17代大嶽親方(元貴闘力とは異なる代の継承者)の処遇を巡っては、当時評議員として選任されていたため年寄を一時的に退任している状態であり、形式上協会員ではないため直接的な処分の対象にはならなかったという経緯があります。ただし、監督責任として自身の報酬の10パーセントを2ヶ月間自主返納するという対応をとっています。このように、相撲界における不祥事への対応は、協会の規定や当時の役職のステータスに照らし合わせて慎重に判断されてきました。
二所ノ関一門としての立ち位置と現代の役割
大嶽部屋は、二所ノ関一門に属する部屋として、長年にわたり独自のカラーを守り続けてきました。昭和の大横綱の血統や遺志を背景に持ちながらも、時代とともに変化するコンプライアンスや指導方針に適応することが求められています。
師匠や親方たちが代々受け継いできた技術の伝承だけでなく、力士一人ひとりの人間性を育てる教育的な役割も、現代の相撲部屋の親方には不可欠な要素となっています。過去の教訓を生かし、信頼される相撲道場としての運営が続けられています。
【大嶽部屋親方】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:大嶽部屋の前身はどのような部屋でしたか?
A1:昭和の大横綱である大鵬が一代年寄として興した「大鵬部屋」が前身であり、のちに貴闘力(16代大嶽)が継承した際に大嶽部屋へと名称が変更されました。
Q2:貴闘力は大嶽部屋をどのように継承したのですか?
A2:貴闘力は2002年の引退後に16代大嶽を襲名し、大鵬部屋へ移籍して部屋付親方として経験を積んだ後、2004年1月1日付で正式に部屋を継承しました。
Q3:過去の所属力士の不祥事において、親方の責任はどう扱われましたか?
A3:2018年の大砂嵐の無免許運転および虚偽申告問題の際は、力士本人が引退勧告処分を受けました。当時の親方は役職の兼ね合いで協会員外の期間にあたり直接的な協会処分はありませんでしたが、報酬の自主返納などが行われました。
大嶽部屋の歴史は、大横綱大鵬の偉大な功績を礎にしながら、貴闘力による部屋の継承、そして時代の荒波を乗り越えるための組織改革の連続でした。過去の不祥事や継承の経緯を振り返ると、相撲界におけるガバナンスや師匠の果たすべき役割の重さが浮き彫りになります。
今後も大嶽部屋が名門としての輝きを保ち、ファンから信頼される存在であり続けるためには、厳格なコンプライアンスの遵守と、時代に即した人材育成のバランスが極めて重要になると言えます。